業務の2割は「医師でなくても可」・・だそうです。

業務の2割は医師でなくてもできるというアンケートの結果がWebサイト上で掲載されていました。
内容を読むと、文書作成系の仕事は中学生でもできると・・・。なかなか大胆な意見の様にも見えます。
確かに診療行為の中で文書の作成量は結構な量になりますが、それなりの専門知識と経験がなければ文書の作成はできません。
近年は、電子カルテ化が進んでペンを持って文書を書くことはほとんどなくなりましたし、大半の文書がテンプレート化されていますので、誰にでも作成できるレベルにまで作業は易しくなっています。とはいえ、医師がそう思っているということは、医師以外が行える業務を医師が行うことが無駄と考えているのか? 単に嫌なのか? 病院によっては人員の問題ということもあるでしょう。
・・・この様な意見が出てきている背景には、電子化が進んだという点がポイントになります。電子カルテになってきたことで、別に英語やドイツ語でカルテを書く必要もありませんし、後で見て分かり易い様にむしろ日本語で普通に書く場合の方が多くなっています。
難しい病名も医療辞書がアシストしてくれますので、最初の数文字から候補が出てきます。但し読めないと話にはなりませんが・・・。
作業内容と誰が作業するのか? 医療に関わる従事者のコストはかなり幅広い給与範囲になりますので、作業毎のコストのあり方をよく考えないといけません。
********************************************************
医療維新より

業務の2割は「医師でなくても可」

「中学生でもできる仕事で1日終わる」の声も

Q.10 現在行っている業務の中で、医師でなくてもできる仕事がありますか。あるとすれば、今の仕事の何割を占めますか。また、具体的にどのような仕事ですか。

Q.10では、医師の業務のうち、医師でなくてもできる仕事があるか、またその割合はどれぐらいなのか、医師と看護師双方に尋ねた。両者ともに、2割を選んだのが最多で、次に3割、1割の順番だった。医師の中には、8割、9割という高い割合を選ぶ人もいた。「なし」を選んだのは医師、看護師ともに2割程度だった。

任意でその具体的な内容を尋ねたところ、医師の回答で目立ったのは「書類作成」や「事務作業」。「医師でなくてもできる仕事」が4割と回答した医師は、「診断書(全て一から医師が書く必要はない)、検査などの説明、カルテ記録・検査や処方など医師がVDT作業に明け暮れるのは人件費の無駄である」とコメント。3割を選んだ医師からも「文書の宛先書き、紙ベース処方せんの単純転記は、医師の仕事ですが、単純転記はできそうに思います」との声が寄せられた。回答者の中で最も高い割合の9割を選んだ医師は、「古い大学病院なので仕方ないのかも知れませんが、中学生でもできるような雑用で1日の大半が終わります」と説明してくれた。

一方、看護師からもさまざまな意見が寄せられた。「なし」を選んだ看護師からは、「医師はもっと働くべき」「現在、医師がかなりの部分を秘書等に割り当てているため、既にないと思う」「おおかた雑務は研修医が行っているが、それはそれで研修医にとって必要な事だと思う」といった、医師の業務を軽減すべきとの方向性に否定的な意見があった。

しかし、「今後、在宅医療を受ける患者が増加するので、訪問看護の領域では医師に代わって(看護師が)行う業務は出てくると思う。現在す既に実施されている行為もあると思うが、例えば、看取り(死亡判定)を看護師が行うことも必要ではないか。また、在宅療養における輸液の管理(電解質補正)などもできるようになるとよい」といった提案や、「他職種の領域を他の職種が口を出すべきではない」という意見も、「なし」を選んだ看護師の中にあった。

そのほか、「診断、手術以外(介護保険の意見書や診断書などの書類の記載、指示出しや実施承認などの電子カルテ入力など)」(5割を選んだ看護師)、「予測指示の指示、入院要約の記載、手術申込書作成、パス作成 、継続薬の処方など。看護師ではなく事務ですらできる内容も多いと思う」(3割を選んだ看護師)のように、一部の事務作業や書類記載は医師でなくてもできる業務があると指摘する声もあった。

2割を選んだ看護師からは、「インフォームドコンセントは他者が行い、医療者と患者の合意形成のために医師以外が行った方が良いと考える」「外来診療時の業務に対してクラークでもできる仕事があると思う」「IT化が進み、実際の連携方法の簡略化が事務職で代行可能では?」「電子カルテになったことや、医療安全の観点から多くの記録が必要になったため、それに関連する事務作業(が増えた)。看護補助者を削減されたため、検査出しなどを看護師だけでなく医師もしなければならなくなった」といった指摘があった。

 

 

2015年10月16日 | カテゴリー : 医療小ネタ | 投稿者 : webadmin

病院の無線LAN

「高速機内Wi-Fiを米連邦航空局(FAA)が承認」というネットニュースが流れていました。 ちょうど1年前の9月1日から日本の航空機での携帯電話利用規制が緩和された事をふと思い出し、1年で進化してきたなという印象です。今回アメリカで承認されたWi-Fiは70MHzの速度だそうです。航空機という環境の中では頑張っているのではないでしょうか・・・。地上ではもっと早い無線LANが飛び交っていますが・・・。

当社のお客様である病院の中で新築や改装工事をされる所では、無線LANを導入するケースが普通になっています。総務省が長年調査を実施した結果では、携帯電話も特段の問題は無しとなって病院内で携帯電話(マナーモード)は容認する所も増えてきています。一番大きな要因は、やはりスマートホンの拡大だと思われます。スマートホンを利用している患者にネットを利用した各種サービスを提供しようという病院が増えてきています。

メールアドレスさえ登録してしまえばピンポイントで診察呼び出しなんて事も最近は実現できます。

病院は、オフィスビルとは異なり、様々な機器や施設に必要な”広さ”が異なりますので、非常に複雑な構造になります。無線LANを利用すれば有線LANの配線を取り回す手間とコストを圧縮することができます。但し、無線ですのできっちりセキュリティ管理が実施されていないと無線LANの乗っ取りや盗聴、ハッキングなどの被害にあうことになります。病院のシステムにもマイナンバーが登録される時がいずれやってきます。そうなると・・・。病院のデータには、本人の氏名年齢、健康保険番号や種別、マイナンバー等々銀行口座と暗証番号以外のほぼすべての個人情報が登録されているデータベースですので、年金番号漏洩どことの騒ぎではすまない事になります。無線LANは非常に便利ですが、過信は禁物です。ご注意ください。技術屋さんの言われる事は最先端ですが、なかなか一般人に分かり易い説明が上手な技術屋さんは少ないです。しっかり聞いて、図に書いて判断する様にしましょう。

無線LANは、電波法上はトランシーバの仲間に分類されるのですが、ここまで無線LANの利用が多くなると、チャンネル不足や、周波数帯不足がでてくるのかもしれませんね。携帯電話の様に・・・。

信越通信局調査研究会の資料 http://www.musenka.com/support/download/medical2.pdf

厚生労働省の資料 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001mbgw-att/2r9852000001mbwg.pdf

2015年9月1日 | カテゴリー : 医療小ネタ | 投稿者 : webadmin

最新治療技術の評価?

一部のがん治療では有効とされていた粒子線治療の効果(メリット)が評価できないなんて、何が起きてるんでしょうか。治療費300万円。高額な治療費ですが、外科的手術が無いので患者の身体負担は確かに少ない。記事では”前立腺がんなど一部のがん”への効果と記載されているが、じゃ、そのほかのどんながんに効果があったのか? 2万人も治療された方がいるということも少しびっくりですが・・・。600億の治療費という単純計算・・・。

各地で当該施設は増えようとしていますが・・・。

****************************************

がん粒子線治療、データ不足で「優位性示せず」

2015年08月09日 09時12分

このページは6回共有されました。これらのツイートを見る。

おすすめ

3
0

国の先進医療として約300万円の自己負担で行われている、がんの「粒子線治療」について、日本放射線腫瘍学会が「前立腺がんなど一部のがんでは、既存の治療法と比較できる十分なデータが集められず、優位性を明確に示せなかった」と、厚生労働省の有識者会議に報告した。

粒子線治療は、「重粒子線」や「陽子線」という特殊な放射線を用いたがん治療。体の特定の部分に強いエネルギーを集中させられる特徴があるが、巨大な装置が必要で、国内では放射線医学総合研究所(千葉市)など13施設が行っている。

2001年、先端的な医療に一部保険診療との併用を認める先進医療に認定された。以後14年間でこの治療を受けた患者は2万人を超えるが、手術や他の放射線治療などと比較できるデータが足りないと指摘されており、厚労省が学会に提出を求めていた。

2015年08月09日 09時12分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

 

2015年8月10日 | カテゴリー : 医療小ネタ | 投稿者 : webadmin

熱中症

台湾のニュースで空きっ腹にコーラを沢山飲んで寝たところ熱中症になって救急搬送されたという話が数日前に流れていました。

空腹時に多量の糖分を接種して、細胞浸透圧が崩れたため低ナトリウムの状態になったと思われます。

暑い時期には、とにかく水分接種ですが、あまり大量に水分を取りすぎてもナトリウムは細胞から溶け出して低ナトリウムの状態になります。水中毒というやつです。

結局のところは、できるだけ涼しい場所で、塩分もほどほどの食事を水分をちゃんと取りながら接種しなさいということですね。

低ナトリウム状態では、体がうまく動かない状態になりますので、以外に怖いです。

何事も食生活が大事ということでしょうね。「食は医なり」という言葉がありますが、結構正しい言葉だと思います。

2015年7月31日 | カテゴリー : 医療小ネタ | 投稿者 : webadmin

ロボット手術の死亡者数(米FDA)

最近の大規模病院では、手術用ロボットが導入されているところが増加しています。ダヴィンチという名の手術支援ロボットが有名ですが、ロボット手術先進国のアメリカでこんな統計が公開されました。日本では保険適用の範囲が限られているので前立腺がんなどの症例で実施されるケースが多いですが、積極的にロボット手術を進めていこうという病院もあります。

高い技術を有しているが年齢的に(目、指先の操作感覚などの衰え)詳細な手術が困難になってきた先生方には良いツールであることは確かです。極めて高額なツールですが・・・。

アメリカでの死亡事例を多いと見るか少ないと見るか?母数は圧倒的に多いので安易な判断はできませんが、十分な訓練と習熟を経てオペに臨んでいただけることを切に願うところです。

*******************

手術というのは、必ずリスクがあるものです。

100%安全な手術なんてものはないわけで、それは人間のみで手術しようが、ロボットの手を借りて手術しようが同じこと。アメリカ食品医療品局(FDA)の最新データによれば、過去14年間にロボット手術中のマシンの不具合によって起きた死亡事故は144件にものぼるといいます。

イリノイ大学、マサチューセッツ工科大学、ラッシュ大学医療センターの研究員が、MAUDE (The Manufacturer and User Facility Device Experience)と呼ばれるFDAデータを調査。ここには、ロボット手術で起きたことが義務あるいはボランティアベースで記録され、レポートにある事象は、次のようなものがあります。

手術中にマシンが放電または火花がでたというもの、この件では2000年から2013年の間に193人の患者が火傷をおいました。部品の一部が壊れて患者の体内に落ちたというケースは100件、うち1件では死亡者がでました。制御不能の動きが起きたケースもあり、52人の患者がケガ、2人は死亡。レポートは起きた事故すべての詳細を明らかにしているわけではありませんが、それでもロボット手術の事故の60%は、何らかの不具合が原因にあります。

2000年から2013年の間に起きたロボット手術関連の死亡ケースは144件。2007年から2013年の間に行なわれたロボット手術の件数は170万件。このことから言えるのは、一定時期で考えた手術件数に対する事故の割合は、大きな変化がないということ。事故の件数は減少することなく、一定数起き続けているということです。これは、現場で問題が上手く解決しきれていないということではないでしょうか。

この調査では、ロボットを使用しない手術におけるさまざまな数字との比較はされていません。ゆえに、ロボット手術の危険性を訴えているわけではありません。しかし、ロボットを取り入れた手術に対して、より明確なレポートと分析の必要性を訴えてはいます。レポート制作者も「事故の調査とレポートを向上させていくこと、安全を第一としてテクノロジーをデザインすることは、将来的に事故減少につながる」と述べています。

2015年7月27日 07時00分 より

******************

原文:http://www.technologyreview.com/view/539521/robotic-surgery-linked-to-144-deaths-since-2000/

********************

 

 

意外と格差が大きい医師の給与

医師の給与はいくらくらいなのか? 一般大衆の一人としては興味がある所ですが、下記のような記事が医療維新に掲載されていました。調査の年齢幅にばらつきがあるので、少々信憑性もどうかという部分もあるが、一般サラリーマンよりは高給であることは確かな用です。ただ、一人前の医師になるまでにご家族が投資された金銭が回収できているかというと、ちょっと疑問でしょうね。

そこそこ大手企業の役員クラスで年収1億という所もありますが、それは退職するまでの数年間。生涯賃金を累計して見ないとわかりませんね。

************

厚生労働省が毎年実施している2014年の「賃金構造基本統計調査」の都道府県別データを集計した結果、都道府県の医師年収の推計値にはばらつきがあることが明らかになった(調査結果は、厚労省のホームページ)。調査対象者の平均年齢は地域によって差が大きいものの、最も高かったのは、長崎県で約1794万円、最も低かったのは東京都で747万円。全国平均は、40.8歳で1150万円となった。三大都市圏で、トップ10に入ったのは、京都府のみとなった。トップ10の中で、2006年末に10万人当たりの医師数が全国平均を下回っているのは山形県のみとなっている。

調査は、2014年7月に、無作為抽出された民間事業所を対象に実施。集計対象は、「(医師を含む)10人以上の常用労働者を雇用する」、5万98事業所。医療機関の場合は、国立病院機構と都道府県、市町村立の病院など地方公営企業の運営する病院以外は、国立大学法人や学校法人なども含め、全て対象となっている。都道府県別の医師の調査結果を見ると、平均年齢は24.5歳から52.6歳、集計対象者は2人から1462人とばらついている。

調査では、2014年6月の賃金と、2013年1年間の賞与を含む特別給与額を聞いている。年収の推計値として、「2014年6月の給与×12カ月分+2013年の特別給与額」を用いた。

その結果、最も高かったのは、長崎県で1794万円。他に1700万円を超えたのは、熊本県1754万円、高知県1749万円、北海道1730万円。

一方、最も低かったのは、東京都の747万円。700万円台は他に、石川県751万円、岩手県755万円、広島県759万円となっている。700万円台の都県は、いずれも平均年齢が40歳未満だった。

超過勤務時間が最も長かったのは、岩手県(76時間)、大阪府(42時間)、鳥取県(40時間)。短かったのは、青森県(0時間)、奈良県と千葉県(ともに1時間)。厚労省賃金福祉統計室の担当者は、「調査で回答する個人の選択は、事業所に委ねられている」としている。

平均年齢で区分して給与を見ると、結果は以下の通りとなった。

【45歳以上】(10自治体)
1位 熊本県(1754万円)
2位 高知県(1749万円)
3位 鹿児島県(1549万円)

【40歳以上、45歳未満】(18自治体)
1位 長崎県(1794万円)
2位 北海道(1730万円)
3位 和歌山県(1522万円)

【40歳未満】(19自治体)
1位 愛知県(1378万円)
2位 山梨県(1335万円)
3位 滋賀県(1297万円)

***************