業務の2割は「医師でなくても可」
Q.10 現在行っている業務の中で、医師でなくてもできる仕事がありますか。あるとすれば、今の仕事の何割を占めますか。また、具体的にどのような仕事ですか。

Q.10では、医師の業務のうち、医師でなくてもできる仕事があるか、またその割合はどれぐらいなのか、医師と看護師双方に尋ねた。両者ともに、2割を選んだのが最多で、次に3割、1割の順番だった。医師の中には、8割、9割という高い割合を選ぶ人もいた。「なし」を選んだのは医師、看護師ともに2割程度だった。
任意でその具体的な内容を尋ねたところ、医師の回答で目立ったのは「書類作成」や「事務作業」。「医師でなくてもできる仕事」が4割と回答した医師は、「診断書(全て一から医師が書く必要はない)、検査などの説明、カルテ記録・検査や処方など医師がVDT作業に明け暮れるのは人件費の無駄である」とコメント。3割を選んだ医師からも「文書の宛先書き、紙ベース処方せんの単純転記は、医師の仕事ですが、単純転記はできそうに思います」との声が寄せられた。回答者の中で最も高い割合の9割を選んだ医師は、「古い大学病院なので仕方ないのかも知れませんが、中学生でもできるような雑用で1日の大半が終わります」と説明してくれた。
一方、看護師からもさまざまな意見が寄せられた。「なし」を選んだ看護師からは、「医師はもっと働くべき」「現在、医師がかなりの部分を秘書等に割り当てているため、既にないと思う」「おおかた雑務は研修医が行っているが、それはそれで研修医にとって必要な事だと思う」といった、医師の業務を軽減すべきとの方向性に否定的な意見があった。
しかし、「今後、在宅医療を受ける患者が増加するので、訪問看護の領域では医師に代わって(看護師が)行う業務は出てくると思う。現在す既に実施されている行為もあると思うが、例えば、看取り(死亡判定)を看護師が行うことも必要ではないか。また、在宅療養における輸液の管理(電解質補正)などもできるようになるとよい」といった提案や、「他職種の領域を他の職種が口を出すべきではない」という意見も、「なし」を選んだ看護師の中にあった。
そのほか、「診断、手術以外(介護保険の意見書や診断書などの書類の記載、指示出しや実施承認などの電子カルテ入力など)」(5割を選んだ看護師)、「予測指示の指示、入院要約の記載、手術申込書作成、パス作成 、継続薬の処方など。看護師ではなく事務ですらできる内容も多いと思う」(3割を選んだ看護師)のように、一部の事務作業や書類記載は医師でなくてもできる業務があると指摘する声もあった。
2割を選んだ看護師からは、「インフォームドコンセントは他者が行い、医療者と患者の合意形成のために医師以外が行った方が良いと考える」「外来診療時の業務に対してクラークでもできる仕事があると思う」「IT化が進み、実際の連携方法の簡略化が事務職で代行可能では?」「電子カルテになったことや、医療安全の観点から多くの記録が必要になったため、それに関連する事務作業(が増えた)。看護補助者を削減されたため、検査出しなどを看護師だけでなく医師もしなければならなくなった」といった指摘があった。